高津くんの鞄を持って……
保健室までやってきた。
さすがに3階との往復は……キツイわ。
肩で息をしながら…、
保健室のドアをノックする。
返事は……ない。
「……紺野先生……?」
ドアを開くけれど。
誰も……、いない?
「……入ってくんな。」
「…………!」
その声……。
高津くん?
「…ごめんなぁ、鞄。自分で取りに行けたのに、ニシハルの奴がベッドに縛りつけるから…身動きできなかった。」
まあ……!
本当だったのね。
(しばし……妄想中…)
「妄想はいいから。だから……、早く行け。」
「中まで持っていくわ。紐…、とかなきゃ。」
「天使…、じゃない、紺野がそろそろ戻ってくるから大丈夫。ドアの内側に置いてて。」
「……でも……。」
「大丈夫だから。そんなに気ィ遣うなよ。」
「………。高津くん。ありがとう。」
「何が?」
「…さっきは助けてくれて。」
「…………。」
「……じゃあ…、またね。早く良くなるように、てるてる坊主でも作って祈るわ。」
「…………。ナニかが違うっ。」
「……ごめん。素直に……嬉しかったから。…じゃあ……。」
「…………、三船ッ!」
「……はい?」
「……好きだ。」
「…………?!」
好きって……。
「……けど…、お前は。俺を好きなんかじゃない。」
「………?好きですよ?出会った時から。」
「………あのなぁ…、時と場合を考えろよなぁ…。違うだろ?好きは好きだろうが……、男としては…見ていない。」
「………。」
「俺はお前を女として好きなの。」
「………。えっ…?!」
「…全く……、ちっとも真剣にならねーな、俺とでは。」
「…高津くん……。」
「お前は…、素直になる相手を間違えてる。」
「…………。」
「いいの?ちゃんとアイツに伝えなくて。」
「…………。」
「ただでさえわかりづらいのに。ましてや相手があいつなら…、ハッキリ言わない限り、見向きもしないぞ?」


