玄関を出て、門のすぐ前に……
いつの間にか、ニシハルの車が停められていた。
運転席に座る彼は、少しだけシートを倒し…こちらとは反対の方向に顔を向けて、ぼうっと窓の外を眺めていた。
コンコンっ
助手席側の窓を…2回ほど軽く叩くと、身体を起こして…ゆっくりとこちら側へと振り返った。
窓が……少しだけ開いて。
「……寒いから乗れば?」とニシハルはいうけれど……。
私は小さく首を振る。
「…いえ、すぐ終わるから…そのままで…。」
「…………。」
彼は上目遣いで私を見つめた後、
徐に…
車の外へと、降りて来た。
「……で……?どうした?」
目の前で、私と対峙する…ニシハル。
かえって…話づらいわ。
さらりとスマートに…終わらせたかったのに。
「…………。これっ!!」
私は後ろに隠し持っていた紙袋を……
彼の前に差し出す。
「…………?」
彼はそっと受け取った後、中身を確認して……
こちらへとゆっくり…、顔を向けた。
「………寒がりな貴方にはやはりないと困るでしょう?ですからコレは…、お返しします。」
「…………。…無くしたんじゃなかったの?」
「……嘘です。クリーニングしたまま、ちゃんとしまっておきました。」
「…ああ、そう。」
彼は受け取ったその手を、だらんと…下げた。
貴方に返すもの、その1……。
あなたがくれた……
温もり。
『ニシハルマフラー』。


