「…………。」
「……心苦しいのですが、宴はそれからにしていただけますか?」
「………ねえ。その相手って…、仁志先生?」
「………!!なぜそれを……!」
「武士を気取った所で…、滲み出てしまうものね。貴方は私の自慢の…『娘』。すっかり……乙女の顔をしてるわ。」
「…………!」
「…さっき会えなかったの?」
「会ったのですが、今…三船城まで連れて来て下さって…。渡したいものがあると待っていただいております。」
「……そう。」
「すぐに…戻って参ります。」
「………わかったわ。」
私は母上に一瞥して、
そろりと……リビングのドアを開けると。
「………!」
そこには…。
壁に寄り掛かかって、前をじっと見据える……宏輔がいた。
「「……………。」」
どんなに罵倒されるのか、どんな説教をされるのかと身構えていたのに……
彼は……
何も、言わなかった。
私は自室のドアを閉めると……
「……。ふぅ……。」
そのドアにもたれ掛かって、ヘナヘナと……
座り込む。
『……だから…、俺なんて結構簡単に転がるっつーの。』
また、だ………。
何故気になるのかは解らない。
解らないけれど……、
まだ、胸に引っ掛かる…言葉。
……ちくちくと……痛いわ。
「駄目です…、例え僅かであろうと、期待をしては…イケナイ。祝福ムードが台なしになってしまうわ……、しっかりしないと。」
早速、この痛みを逃してやらねば………!!
両頬をぱんッと叩いて……。
「ひ、ひ、ふぅ~っ…」
かの有名なる呼吸法で痛みを逃すと……
ゆっくりと…立ち上がり、机の方へと、歩いていく。
引き出しをあけて、
あるモノを手に取って。
それを………
ぎゅううっと握りしめると……。
「………行きましょうか…。」
しっかりと顔を上げて……
部屋の外へと、
飛び出していった。


