恋はいっぽから!









背後のドアが……

鈍い音を立てて、開いた。




「…………。わ…、すげー風。お前何で中で待ってないんだよ。」



「…!仁志先生。」




「てか…、寒ッ……。」



彼は私の隣りに立つと…、ぶるっと一度身震いさせる。




「相変わらず寒がりですね。」



「…俺はお前みたいに鼻水垂らしてんのに気づかないよーな感覚はしてないからな。小学男児かっての。」




「ムッ…。あの頃の私と一緒にしてもらっては…困ります。」



「変わんねーだろ、ホラ。」




ニシハルはひょいっと私の手を持ち上げて…



「……ほら、すごい冷たい。」



横目で……ギロリと睨む。



「女は冷え症です。」



「………。ったく…、たまには素直になってもらいたいもんだな。いつまで反抗期なんだ?」



「………。貴方に対しては…、きっと、ずっとず~とそうなるのでしょうね。」



「何で?」



「………。…ご自分で考えて下さい。」



「は?(イラッ)」



「……では、さっさと参りましょうか。」




理由は……、簡単。


ちょっとでも気持ちが溢れてしまったら…


貴方はそれを、見抜いてしまうでしょう?



この距離を、このバランスを保つ為の……


私の…精一杯。




それが一番いい方法だと、貴方だってわかっているから……

以前と変わらぬ態度をとってくれるのでしょう?






「……。…そうだな。じゃあ…これくらいはしておけ。めでたい日に風邪ひかせらんないから。」



「………?」



彼はそう言って……、



ふわり、と私のうなじを…


何かで覆った。



その端が…視界に入る。





「………これ……?」




それは………、



私が彼にプレゼントした…


マフラー。




「使ってくれているのですね。」



「まあな。」



「………そっか…。そっか……。」




「……お前はしてないんだな。」



「…………!!」



「俺が…あげたやつ。」



「………そ、それは…、そうです、どこかにしまって…見つからなかったのです。」



目を合わせることが…できない。


嘘だと……バレてしまいそうだから。