「来ない……。来ない来ない来な~いッ!!」
「……少しは落ち着けよ、莉奈。」
呑気にグラスに入ったコーラをストローで掻き回しながら…
高津が、呆れた声を出した。
「だってもうそろそろ着いた頃でしょう?」
「でも…車で行っちゃったしなぁ…。渋滞に巻き込まれてる可能性もあるんじゃん?」
「んも~……っ、どこまで過保護なのよ、宏輔さんっ!だいたい、都内だったら公共の乗り物で行った方がよっぽど早いでしょうに。」
「よほど心配だったんじゃない?有休とるくらいだし。入試直後のあいつを思い出せ。まーた灰になってただろー?」
た、たしかに……
あの時、偉く落ち込んでいたいっぽを励ましに…彼女のクラスまで行ったっけ。
「……定員70人なんて…狭き門だもんなぁ…。いくら三船といえど、確かに厳しい現実…。」
「……………。」
なかなか鳴らない携帯電話。
いっぽからの連絡を一人で待っても、どうにも落ち着かなくて……
ファストフード店につい高津を呼び出した。
だけど……状況は……変わらず。
高津……、必要ナシだったな。
それに……。
こうして休日に2人きりで会うなんて…いつぶりだろう。
なんだかこれじゃあまるで、デート…
「お。何だお前ら、デート?」
「…………!!!」
思わぬ言葉を掛けられて…
心臓が飛び出しそうになる。
「泰人。そう見えるかぁ~?」
ひょっこりと顔を出したのは…
長南くん。
数人の同級生を引き連れて…来たようだ。
「……誤解しないで、実は今日いっぽの合格発表があって……」
「エ!今日なの?!」
これには長南くんが…食いついてくる。
「そう。……でね、一人報告待ってても落ち着かないから…高津に来てもらった訳。」
「……合格発表になったら連絡するって俺も一歩と約束してたから、俺にも来るかなぁ…?」
「いっぽそういうとこ律儀だから…来るでしょ。てか、長南くんも一緒に待たない?」
「……待つ。じゃああいつらに断ってくるわ!」
全く……、どれだけみんな、過保護なんだろう。
なんだかんだ付き合ってくれる高津も、
慌てる長南くんも、
それから……
私も。


