「……しっかしまさか一歩が数学の先生目指すとは…、意外や意外だったわ。う…、冷たッ。」
訪れた神社の、参道脇にある手水舎で手を清めながら……
莉奈ちゃんがくすくすと笑った。
「…そうかしら?」
「そーだよ!苦手のツートップだったじゃない。それがギリギリになって…そうきたか~って。」
「……。理解できないものが理解できた時の喜びが…衝撃的だったからですね。」
「……ふぅ~ん。まあ、いずれにせよニシハルが大きく絡んでるみたいだけどね。」
「………。」
「…未練…あるんじゃないの?」
「……ないですよ、全く。あったとしても、今ここに綺麗さっぱり洗い流しましたわ☆」
「ふーん、そう……。」
再び参道に戻ると…、
参拝客の列の最後へ並んで、順番を待つ。
「…そろそろ願書提出?」
「あ、はい。月曜日から受付開始なので……日曜の夜にでも、ポストに投函する予定です。」
「うわぁ~、いよいよだね。」
「はい。莉奈ちゃんだってすぐじゃないですか。」
「まあね~。でもまあ大した短大でもないし、後は一般教養と論文と面接にスパートかけようかなって。」
「…そうですか。発表はいつなんですか?」
「2月の頭。あ~…緊張する。」
二つの手を擦り合わせて…はあっと息で温める莉奈ちゃん。
彼女は地元の短大の受験を…控えている。
ちなみに高津くんは……
東京の工業大学へと進学を決めていた。
「…面接練習のお相手をしましょうか?」
「………。遠慮しとくわ。突拍子ないこと聞かれても…答えられないもん。」
「…アラ。面接ってそういうものじゃない?」
「………。そうだけど……。」
「まあ…、私が面接官だったらあのことを真っ先に聞きますけど、聞いても…いいですか?」
「……?なに?」
「……莉奈ちゃん、高津くんと離れて…寂しくはならないですか?」
「………。突拍子ないこと聞くわね、やっぱり。」
「……これでも真面目に聞いています。だって二人はいつもいつでも一緒にいたじゃないですか。例え恋じゃなくても、寂しくない訳ないでしょう?」
「………。そうだなー…、ずっと腐れ縁みたいに一緒だったもんね。今は…まだわかんない。だってまだ会えちゃうんだもん。」


