電源を切ると同時に、母上がにこにこと側に来て立っていた。
「……重装備…、ね。私の出番だわ!」
「イエッサー!!」
朝ご飯を軽く食べた後…
私は母上の部屋を訪れて、重装備を施してもらう。
「はい、まずは肌襦袢を着て…先に足袋はいて頂戴。」
鏡の前……。
腕捲りをした母上がテキパキと手を動かしていく。
何故か既に着物が掛けられていて…
見覚えのないソレに、母上が何日か前から準備していたことがうかがえる。
「あなた少し痩せた?……タオルいれなくちゃ。」
「………。」
「着物はちょっぴりぽっちゃりしてるくらいが似合うのよ~?」
「……かたじけない。」
「…今日の振り袖はね、トモヨお義母さんが私に作ってくれたものなのよ。」
「……!トモヨが……?」
「…いいでしょ?お父さんとお付き合いしている時に、振り袖はもう着れなくなっちゃうからって。はやり廃りのない柄だし、滅多に着る機会なんてないから…孫の代まで使えれば…なんて言ってたっけ。」
「………。」
「貴方も恋をして少し大人びた顔つきになってきたから…ちょうど似合う頃かなって準備してたの。」
腰ひもを結びながら…彼女はふふっと笑う。
「苦しくない?」
「…はい、大丈夫です。」
「そうそう、着付けもお義母さんから教えてもらったわ。自分で着れる女性って素敵だと思わない?」
「……はい。」
「貴方にも私が教えましょうね。花嫁修行ってことで。」
「やだわ、母上ったら…。一歩はまだ結婚なんてしませんよ。」
「……。アラ。てっきり、高校卒業したらするものだと思ってたわ。仁志先生と……。」
「………。」
「三者面談以来会ってないわね。彼は…お元気?」
「……。ええ、多分。」
「………?やだ、毎日会えるようになった余裕?」
「…違います。先生とはもう…お別れしましたから。」
「…………。……えっ。いつ?!」
「去年の春です。けど…、母上。私、後悔はしていません。今も変わらず、彼は先生として…私を温かく見守ってくれていますし、彼が私の目標になったのですから……。」
「………。」


