「いつまでねてるのだ、こんの大たわけ者ぅ~!!」




ゴチン☆



ぴよぴよ…………

ピヨピヨ……☆












「おはようございます、皆様。毎度おなじみ三船一歩にございます☆」




「……なにを寝ぼけとる、浮かれポンチよ。」




「久則……。私、素敵な初夢を見てしまいました。」



そう……、なんてリアルで素敵な夢だったのでしょう。




「………?大学合格か!」



「…いいえ。わたくし、なんと…携帯小説のヒロインになっておりまして…、殿方との切ない恋と愉快な仲間達との友情に勤しんでおりましたの。(ポッ)」



「……。だいぶ頭がイカレおったな。」



「受験生なのですから、大目に見て下さい。リア充離れしているのですから。」




「………。」



「それより…今の頭突きで数式がひとつ飛びました。全く朝から…何ていう乱暴な!」



「……………。」




「……勉強の邪魔です。出て行って下さい。」




「…………………。」





「……ところで…、私、何の夢を見ていたんでしょうか?」




「…………。もう忘れたのか…。」



「まあいいです、とにかく…勉強です!」







私はベッドから跳びはねて、勢いよく窓のカーテンを開く。





「…………!」



真っ白な雪に……。太陽の光が反射して。


一気に私の頭を……刺激する。




「……さて……、と。」



早速机に向かい、ブックエンドに立てかけているノートを手に取ると…。



パラパラとページをめくる。








「……ヨシ…!」



『頑張れ。応援してる。』



ニシハルの言葉を胸にしっかりと刻んで…



ノートを元に戻すと。



数学の…参考書を開く。








自分への挑戦。



私が選んだ選択肢は……



数学の先生。








やればやる程に、

複雑であればある程に、




その謎に挑むことが…楽しくなっていた。




数字は嘘をつかない。


必ず…答えがある。





ずっと継続していたニシハルと数字との戦いの日々が…


まさかこんな効果を生むなんて、最も意外だったけれど。



好きになってしまったのだから……



仕方ない。