「……小松先生っ?」
紺野先生が慌ててソレを拾い上げるも……
「……さわらないで!」
……一刀両断。
「もうそんなものをかけなくて済むように……、残りの学生生活を規律あるものにしなさい。二度と馬鹿な真似は…しないで。それから、仁志先生…。私はだいぶ貴方を買い被っていたけれど、この件であなたの本性を見た気がしたわ。生徒をたぶらかし、同僚を味方につけて……どれだけタチの悪い男なのかしら。」
「…………。」
「………。貴方が一番必死だったわね。見事な『大人子供』ぶりだった。」
「え。仁志先生が…?」
「この男にそんなん有り得んの?」
「……あー…やっぱそうだろうな。」
私とオオサカと長南殿は顔を見合わせて……
ぷっと吹き出す。
「見たかったわ~、もう二度と見れんかもしれないで、焦るニシハル!」
「……なら、私達が焦らせてやりましょうか?(ニヤリ)」
「…大境さん三船さん、黙らっしゃい!!」
「「は、はいっ。」」
「……とにかく…今回は特例です。二度目はないと思いなさい。特にアナタ達二人の言動には日頃から目に余るものがありますから……、私がこの目でしっかりと監視させていただきます!」
「「ええ~?!」」
「わかったら早く講習に戻りなさい。時間の…無駄だわ。」
眼鏡のない小松先生は…、吊り上がって見えた大きな瞳が穏やかなカーブを描いていて……
とても……優しい瞳だった。
こういう大人に……
こういう先生に守られていると思うと、
私達は……
幸せ者だわ。
「………申し訳ありませんでした!!」
ドアの前で突然……、長南殿が頭を下げた。
「「申し訳ありませんでした!」」
私とオオサカも後に続くけど……
「あら?オオサカは頭を下げる理由はないわ。」
「あ、そうか……、ついなんとなく。」
小松先生はついに笑い出して……
最後に、
「噂の火消しでもしなさい。」
そう……ひとことだけ告げた。
扉が閉まる瞬間……、ドアの隙間から、ニシハルが先生方に頭を下げるのが……
見えていた。


