恋はいっぽから!




しばらく、そのまま……時間だけが過ぎて行き。






ふうっとため息をついた瞬間に――





トントンっ…




不意に…背後から扉をノックする音が響いた。



「…………。」




「……どうぞ。」


無言のままのエア校長に代わって、ニシハルが落ち着いた声で、入室を許可する。



「………失礼します。」



扉の向こう側からは………女性の声。




キィ……、パタン。




「………誰かね?」



背を向けたまま……

その人に問う。



「………。」


返事は、ない。




「誰かと聞いてるんだ。……答えなさい。」




振り返ればいいだけだというのに……


それが、できない――。

















「小松クニ子ですが。」






………………。






「……はぁ?!」




私は椅子から立ち上がって…思わず、振り返る。





「……貴方だったのですか……?」




「………?何を馬鹿なことを言ってるんです?……三船さん、貴方こそそこで何をしてるのかしら。」



「…………!話を逸らすでない!」




……と、ここでようやくニシハルが…口を挟む。


「………三船。小松先生も同席するって言ったろ。ふざけてないで…まずこっちに座れ。」




「……………。かたじけない。」


ニシハルに促された通りに…


来客用のソファーに腰を下ろす。



「……小松先生はこちらへ。」



彼はお局先生を、校長用の一人掛けに座っていただくように…導く。




「コレ、仁志くん。そこは私の席であろう。」




「アホ、いい加減現実を見ろ!」



ズビシッ!とニシハルのチョップが頭上に降る。




「………はい、すみません。」



「っとにお前は……。真剣になればなるほどちぐはぐなこと言いやがって。」




「…………。」



「大人しくしてろっつったじゃん。後は俺らに任せろって……。俺達がそんなに信用できないか?」




ニシハルは私の隣りへと腰を掛け、キラッキラの瞳で訴えかけてくる。




「…………。」


か、かわいいわ………!




「…信じています。…大丈夫…ですよね?」



「……大丈夫だ。」


途端に彼はにっこりと微笑み、「ねっ」…と…、お局先生に同意を求めた。