恋はいっぽから!







校長室の鍵を、ニシハルが開けて……



私達二人は、足を踏み入れる。



入口側へと対面するように置かれた木製のデスクと、黒い革製の椅子が真っ先に目に入り……。



ここが会社であったら、まさに「社長室」と呼ばれていそうな狭いこの空間に……


少々、緊張が…高まる。




「うりゃっ。」



先生はそんな私の肩をぐにゃっと揉んで。



「カチカチだな、オイ。」
…やや…苦笑した。




「はい、先生!質問です。」


私は右手をピンと真っ直ぐに挙げて……



「……はい、三船さん。何ですか?」



生徒ぶってみる。



「わたくし、ちと緊張して参りまして……」


「………。」



「少々リラックスさせていただいてもよろしいでしょうか☆(ニヤリ)」



「………いいですよ。」







許可が下りてすぐに、


私はピョンっと校長席に飛び乗って。



キィ………と音を鳴らしながら、イスを窓の方へと回転させる。






「……仁志くん。」



キィ……。




「………。」




「今日呼び出した理由は…君が一番よくわかっているハズだ。」




「……………。」




「…説明してもらおうか。君と……、三船一歩のことを。」




「……………………。」






「………。予行練習です。アナタはニシハル先生役をどうぞ。これをしておけば、本番でも…緊張が和らぎますよ?」




「……………。そりゃご丁寧にありがとうよ。けど、校長はいねーし、その状況にはならないけどな。」





「……ちっ…。」


つまらないわ…。


折角の呼び出しごっこだというのに……。






キィ………。


私は再び椅子を回転させて………、


ニシハルに背を向けた。





カチコチと、時計の針が進む音だけが…耳に届く。





以前は、いくらでも二人きりの時間を過ごして来たけれど……



間が…もたない。




なぜなら、全くもってニシハルは……口を開かないから。



緊張感は……、否めない。