「……え…、先生…?」
ニシハルは私の手をひいて。
そのまま、長南殿に背を向けて…歩いていく。
振り返ると、残された長南殿はただただじっと……
私達を見つめていて。
その切なげな表情に。
私は、胸を…締め付けられる。
ニシハルは無言のまま、ずんずんと先を歩いていって。
会話もないまま、廊下の角を曲がり、長南殿の姿が視界から消えた瞬間に……、
私の体は彼の手によって、いとも簡単に…、壁へと追いやられる。
ニシハルは壁に手をついて…
ふうっ…。と小さく息を吐いた。
「………あの……?」
「あのさ、」
二人の声が…重なる。
「…なんでしょう?」
「…………。…お前今…、長南に何て言われてた?」
「…………。すみません、言いたくありません。」
「…何でだよ。」
「話して解決するようなことでもないので……。」
「……。あ、そう。話したくないなら別にいいけど…、焦らすなよ。」
「……?別に貴方を焦らせるようなことはなかったと自負していますが。」
「………。案外…冷静だな。」
「…はい、…そうでもしないと……」
「『泣きそう』か?」
「その通りです。さずかに貴方は…私のことをよくご存知です。ですが、もう…情けは無用。知らんぷりしていただいた方がよっぽど楽です。…それに……そんなことに執着するほど貴方も暇じゃないんでしょう?」
「………。…まあな。」
「先程は…私を庇っていただきありがとうございました。寺澤先生や紺野先生にまでご迷惑を掛けて……。」
「あれは…、俺の尻拭いをしただけであってお前に非はないと信じていたからこそ……当然の行動をしたってだけ。迷惑かけたと言うならそれは俺の方。」
「……。それで……、あの、先生は大丈夫なのですか?もしかして、何かしらの処分が下るなど……」
「うん……。」
ニシハルの笑顔に……
陰りがさす。
「……三船……、慰めてくれる?俺のこと。」
「………!」
校長に…話をしたと言っていたわ。
もしかして……
彼の証言は、信じてもらえなかったの…?


