「…『こんなこと』…?」
「あ?」
「……まあ、殴りたければ殴ればいい。確かに全ての責任は、俺にある。」
「………。」
「どうした?別に抵抗するつもりはないし、誰かに言おうとなんて…思わない。…やれよ。」
ニシハルは……
まるで挑発するかのように、長南殿から…瞳を逸らさない。
「…駄目です、長南殿。先生だけが悪いだなんてことはありません。」
慌てて二人の間に割り込もうとするけれど――
ニシハルのシャツをネクタイごと捩り上げて。
彼等の間に入りこむ隙を…与えない。
「駄目です、お願いですから…やめてください、長南殿……!」
私の必死の訴えにも耳を貸さず…
長南殿の右腕が上げられた瞬間に………。
「…やればできんじゃん。そのくらいの勢いがあれば…、三船を守ってやれるんじゃないか?」
ニシハルが…ふと笑う。
「……腑抜けた奴に、偉そうに言われて我慢できる程俺は人間できてない。…そろそろ……、彼女と話させろよ。別に…、とって食う訳でもないし、別れた女に執着するほど…暇じゃねんだよ。」
「………くそっ…。」
長南殿はようやくそこで彼を解放して……
持て余した右の拳をギュッと…握りしめる。
「……まだ言いたいことがあるなら…後でいくらでも聞いてやる。つっても…校長と話すのが先だけど。」
「………!おい…、このことで一歩は…」
「……さあ…、どうなるかは俺にもわからない。」
「…………!」
「……事情はもうひと通り話している。後は…、校長の判断だ。これ以上悪あがきしても、逆効果に過ぎない。でも…、納得いかない結果になったとしたら、お前は三船の味方になって…最後まで…守り抜け。さっきの勢いがあるなら…できるだろ?」
「…………!」
「…だから…、少しでいい。三船を借りるぞ。」


