「頼もーうっ!!」
ガラリと職員室の戸を開いて。
ずかずかと……中へ押し入る。
講習が既に始まっているから、先生方は…あまりいない。
驚いて目を見開く寺澤先生と、あくまでも表情を崩さない…お局先生…だけ。
「…お話はもう終えたのですか?」
お局先生は私の背後に立つ紺野先生をちらりと見て……、それから、じっと私を見据えた。
「そなたがこの道場の範士様にございますか。」
「……。貴方、何をしにここに来たの?」
彼女の口の端っこが…僅かながらに引き攣っている。
「道場破りにございます(ニヤリ)」
「…………。話にならないわ。ちゃんと真面目になさい。」
「……私は…いつだって大真面目です。」
「…ふざけるのもいい加減にして。まず…そこに…かけなさい。」
お局先生は、来客用のソファーへと私を促すと。
自身も向かい側のソファーへと、腰を下ろした。
「…単刀直入にお聞き致しますが、貴方はご自身の門下生を疑っておいでなのでしょうか?」
「……はあ?」
「ニシハル殿のことです。」
「………。疑わしい行動をすれば、それはそうなるでしょう?」
「………。それは…、相手が私であってでもですか?」
「…………。貴方でなかったらもっと疑うわね。」
「…………。なる程。一理ございますな。なら、ご心配には及ばないかと。」
「……はあ?」
「実は私…、高原でニシハル殿に助けてもらって以来、彼にホの字でございまして。」
「………。」
「…叶わぬ想いだと存じ上げながらも、無理くり彼を呼び出して……告白なるものをしてしまったのです。」
「え……っ」
寺澤先生が……、
小さく声を上げた。
紺野先生は黙ったまま……
相手の出方を窺っている。
「……で?」
「ご安心下さい。ロマンチックなシーンを演出したかったが故に…あんな時間に呼び出したのですが、その写真の直後に…こてんぱに振られましたから。」
「…………。ですが、二人で会っていたことには変わりないでしょう?」
「………それは…」
…と、言いかけた時だった。
「二人じゃありませんよ。」
魔女が…サラリと言ってのける。


