「……正義のヒーローになんてなることなんてないのよ。ただ、自分の幸せを…考えて欲しいの。だから……、貴方は貴方で賢い選択をして頂戴。…大丈夫、全力で…彼を守り抜いてみせるわ。」
「……はい。よろしく…お願いします。ですが…私だって、黙っちゃあいられません。」
「……エ。」
「くせ者らしいやり方で…、彼を守らせて下さい。彼に対するせめてもの…恩返しです。紺野先生と仁志先生の絆に勝るものはないって…十分わかってます。今後一切お二人のことを邪魔するようなことはしないので……、そのくらいのことは、許していただけませんか?」
既に温くなったマグカップを握りしめて……
彼女を真っ直ぐに見上げる。
彼女に敵う要素など一つもないわ。
でもね……、
負けないくらいに、彼を好きでいたことを…誇りたい。
負けを認めるのは…それからだっていいじゃない?
途端に、彼女はクスクスと笑い出して。
「……。……おかしいわね、私も彼に感化されていたのかしら。」
そう……、ぽつりと呟いた。
「…貴方の行動は…見ていて飽きない。彼が夢中になった理由も…なんとなくわかるわ。」
「……え……?」
「…ただし……、彼に不利になるような言動だけは避けて。……小松先生のあの頑なな姿勢を崩してやりたいのよ、私も。貴方を擁護する気はないけど……、小松先生きしたら一度生徒の視線に立って物事を考えてみるいいきっかけになるんじゃない?……やってみなさいよ。見物だわ。」
「……はい…!」
「……気をつけてよ?犯人は、いつどこで…貴方を見てるかわからないんだから。」
「…………。」
「…写真を撮ったのは間違いなく、あの場にいた人間……。つまりは、3年の誰かか、教師か……。その中に、いる。」
「………。」
「…あの朝、誰かに会ったりとか、つけれたとか、そういうことは…なかった?ちなみに…不寝番であの時間に起きていたのは、ハルと、寺澤先生と、私と、野上先生だけだった。巡回していて不寝な様子はなかったわ。」
「…………。」
あの時……、まだ、誰も起きるような時間では…なかった……。
でも……、
ちょっと待って……?
私達の他に、
起きていた人が…いたわ。


