「もし、寝込んだのが他の生徒だったら…。リスクを犯してまであんなことをする?わざわざ体調の優れない人を連れ出す必要がある?………そうしてまで…会いたかった。つまりは……あなただから彼はそうした。そんなことを……他の教師に話そうとしていたの?」
「………いえ…、そんなつもりは……。」
「教師と生徒の関係に戻ったのなら、もう…余計なことはしないでちょうだい。拒否することだってできたはずでしょう。」
「……はい。」
「……ったく…、あの馬鹿も…変わっていないんだから。」
「………。」
「自分を裏切った女に情けをかけるなんて…馬鹿げてるってのに……。」
「…………。」
魔女は寂しそうに笑って。それから……私の方へと向き直した。
「……一度…ちゃんと話しておこうとは思っていたわ。私と…ハルのことを。」
「………!」
「いい機会だから教えてあげる。」
「………聞かなくてもいいです。」
「…怖じけづいてるの?今更…?散々彼を巻き込んでおいて…?」
「…今聞いたことで、先生に対する気持ちが変わることはありませんし、紺野先生とのことを…どうこう詮索するつもりもありません。お二人を邪魔する理由も…もう、ないのですから。」
「……なら…、応援しろとは言わないけど、悟って欲しいものだわ。聞いて貴方がどう思うかはわからないけれど、彼をまだ好きだと言うなら……、彼を守るつもりで聞いて頂戴。彼と同じ教師という立場で、友人として、元恋人として……私なら彼を、助けてあげられる。」
「…………。」
「……全力で、守りに行くわ。あなたとのことも、誤解として…ごまかすこともできる。」
「…………。」
「……聞いて…判断して頂戴。できれば正しい選択を…して欲しい。彼の為に。」
彼の…………
ニシハルの…為に…。
私は………
頷くしかなかった。
当事者である私がどう騒ごうとも……、あとは、かえって心証を悪くするだけ。
誰かの力がなければ…彼を守ろうだなんて、到底無理な話だと…わかっていたからだ。


