「……そう、貴方の本日のネクタイの色!こんな暑い日にワイン色など似合いません。むしろ、暑苦しいわ。やはりここは爽やかにブルーが良いかと。」
先生はしばらく私を凝視して。
こちらは…と言えば、手に汗を握る。
「……そりゃあファッションチェックをどうも。けどそれ言ったらお前らの制服のネクタイも、リボンも同系色じゃん?」
「……ハッ…!」
私は一度自分の胸元を見て…ガクリと肩をおとす。
「せ、先生はみんなの視線を一手に担うのですから…訳が違います。」
「あ、そう?お前はそんなに俺を見てくれてるわけ?」
「……ち、ちち違います!!」
「まあ、俺も見てるけどね?例えば……、うん。最近髪伸びたなあとか、髪型が可愛くなってることとか。」
か……、カ ワ イ イ……??!!
「先生っ、女性に髪型のこと言うのはちょっとやらしーわ。」
オオサカ、綺麗なツッコミ……。
「ええ。その通りです。お局先生に訴えますよ!」
「こら、小松先生は関係ねーだろ。なんだよ、せっかく大人っぽくなったって誉めてやろうと思ったのに。」
「……………?!」
「そのくらいで食ってかかってくるんだから、まだまだ子供だな。」
「……………。」
か……
完敗………!!!!
けれど、悔しいけれど……
こうして、ごく普通に声を掛けて貰えることが、嬉しくて…仕方ない。
ちゃんと見てくれていることを、あんな形だけれど…伝えてくれる。
ねえ、先生。
貴方とこうやって罵り合えるのは……
あと、どのくらいなのかしら。


