恋はいっぽから!







「あ…、やべ、タオル……。」



「はい、ハル。」



「…ああ、ごめん。ありがとう。」





俺はタオルを受け取り、バシャバシャと頭から水を…被る。



じめじめとした空気。


汗で体に纏わり付くユニフォーム。



どこかアタマに残るモヤモヤは、こうやって…一時洗い流す。




「大丈夫?随分追い込んでるみたいだけど。」



「………。なに、大丈夫じゃなかったら紺野が慰めてくれんの?」



「もう…、馬鹿っ。アンタはいつもそう話をはぐらかすんだから!」



話すお相手は……、

サッカー部のマネージャーで、クラスメイトの…紺野 枝里。



彼女は一瞬にして俺のタオルを奪うと…



「……この前女と別れたばっかりでしょう?!」と、プンスカ怒り出した。



「……ご希望通りにしてやろっか?」



奴を羽交い締めにしてやると、思い切り…平手打ちが飛んでくる。






けれどこんなことは日常茶飯事で、これといって…何の変化をもたらさない。



モテるくせに男を作らない。

なのに絶妙なタイミングで、おれの懐に飛び込んでくる枝里に。



何度…救われたかわからない。




とにかく彼女は…俺を一人にはさせなかった。



一緒に馬鹿ばっかりして、くだらないことに笑い合って。



唯一の…気を許せる女だった。