中学校で、サッカーの顧問を勤めていた親父は…、奴自身も、サッカーの経験者であった。
熱心な指導は、幼少期の俺にまで飛び火して…。
地元のクラブチームへと無理矢理入団させられた。
ただ、ボール蹴りが好きだった俺は…疑う余地もなく、サッカーへと没頭していた。
上手くいかない時には、やめたいと泣き叫んだ時もある。
その度に。
いつまでも泣き止まぬ俺を…押し入れに閉じ込めた。
親父と俺の…根競べ。
戸を叩いて、
大暴れして、
「ごめんなさい」と許しをこうまでの数時間…。
暗い闇の中で、ひたすら恐怖を堪えていたものだった。
当時、幼稚園で見た絵本の影響も…少なくはない。
出てくる頃には大汗かいて……、
けれど、そんな俺を見て見ぬフリする母親は…
もっともっと鬼に見えたものだった。
小さい妹を抱きしめたまま、
俺にかけつけるなど…したことはない。
母親ですら、親父の存在は…怖かったのかもしれない。
やがて、妹だけを連れて逃げ出した理由は…
よくわかっているつもりだった。


