「学校だっていう自覚があるなら……、授業中に船漕いでる方がどうかと思うけどな?」 彼はコツンと痛くもない拳を…私の頭に落として。 ニヤリと余裕に笑ってみせる。 「……ハイ、授業再開~。」 まるで何事もなかったかのように… サッサと教壇へと戻る姿に。 私は苛立ちを覚える。 仁志 日陽(ニシ ハルアキ)。 数学担当教師。 通称……ニシハル。 一見、教師には見えない端正な顔立ちに無駄に色気が漂うこの人が。 私は…… 人一倍、苦手だった。