彼を無理矢理押し入れに閉じ込めて……
すぐさま、布団の中へと戻った。
「……仁志先生…?いますか?」
女の人の小さな囁き声が…、襖の外から聞こえてきた。
その襖が、静かに静かに……開かれる。
「……いない……、か。」
この声は……、紺野先生。
私はばれぬようにと、必死でタヌキ寝入りする。
「……大丈夫そうね。」
彼女は私の額に触れ、ふうっと安堵の息を漏らすと……。
そのまま静かに……
部屋から立ち去って行った。
途端に、しん…。と静まる部屋……。
「仁志先生、もう大丈夫ですよ。」
…………。
「………先生……?」
押し入れの中からは…、物音ひとつ、しなかった。
「…………?もしや、寝てるんじゃ……?」
そっと扉を開いたそこには……
ぼうっと目を開いて、放心状態に陥っている……ニシハル。
「……先生。」
私の呼び掛けに、ようやく我に返って…こっちを見る。
……が、その顔は……
何故か、酷く苦しそうで。
「……ご……、ごめんなさい…。」
私は思わず彼に……抱き着いてしまう。
「………三船……?」
「ごめんなさい……!」
狭い狭い…押し入れの中で、
私は力一杯、彼を抱きしめる。
「………どうした?」
彼は私の背中をポンポンっと宥めるようにして……
何度何度も…優しく摩った。
いつか聞いていた……
高津くんの話。
『…ああ、ニシハルの弱点なら俺知ってるよ?なんか、閉所恐怖症らしーけど。』
『…なんだっけかな、題名。…絵本であるじゃん?子供が押し入れに閉じ込められるやつ。で、怖いねずみのばあさんがでてきて冒険する…みたいな。それ読んだ後に、親に押し入れに入れられて、あまりの恐怖で号泣したとかなんとか……。』
『以来、苦手らしーぞ。極端に狭い場所とか。』
いつの間にか、彼は私を…抱きしめ返していた。
背中に回した手が、少しだけ………震えている。
これは、ただのトラウマ……?
普段の先生からは…考えられない姿。
ただ…怖いだけ?
本当に…それだけかしら?


