「……ん……。」
うっすらと……
目を開ける。
「……………。」
まだ……暗い。
ぼやける…視界。
「…くすぐったい。」
頬に…違和感。
「…まさか、フクくん…。」
パチっと目を開けて。
仰向けに寝ている状態から、首だけ…横を向く。
「…………え………?」
鼻先に香るいい匂い。
柔らかい、もしゃもしゃしたコレは……?
「………ひいぃっっ!じ……、人毛…!!」
脳裏に浮かんだテロップ。
『〇〇高原殺人事件』……!!!
「……ん…。」
仏さんが……動いた!
ハッ…、動いた地点で…仏じゃない?!
大パニックの頭の中。
それを一気に払拭させたのは……。
「……三船……?…おはよう。」
あなたの大きな手が、ふわり。と頭に触れた時……。
ニシハルの顔が……
目の前にあった。
「…せ、先生?!い、一体ここで何を……?」
「……。寝てた。」
「それはわかります。じゃなくて…、なぜここに……?」
「………。不寝番。部屋の見回りしてた。」
「……明らかに寝てましたよね?」
「……なあ。」
「……はい?」
今、思い切り会話を…逸らしたわね。
「熱は…どうだ?」
頭に置いていた手が、躊躇なく額へと…触れる。
「……だいぶ下がったみたいだな。」
私はとにかくされるがまま……。
「あの……?」
とにかく、状況把握に勤しむ。
「…やべー…、交代時間になる。」
ドキドキしている私とは正反対。
彼は落ち着いた様子で、手にした携帯を煌々と光らせては…ぽつりと呟いた。
「あの…、先生、」…と、私が呟いた時だった。
コンコン、と小さく小さく音が鳴り……、
それが、一番外側のドアをノックされた音だと気づく。
「……先生、まずくないですか。この状況……。」
「…………。」
和室のドアは……
オートロックではない。
ましてや、鍵などかけてはいけないから……
「……。先生、隠れて。」
私は咄嗟に起き上がって……
ニシハルの腕を掴むと。
「……少しだけ…隠れててください。」


