「…ここは…どこ?私は…誰?」
「あ。…良かった、気づいたのね。」
「…貴方はだ…」
「忘れたとは言わせませんよ?」
「…………。紺野先生。」
「うん、意識はハッキリしているようね。」
「……あの……?」
「……あなた山登りの途中で…倒れたのよ。覚えてない?」
「………覚えて…マス。」
「……そう。私も煽ったのが…悪かったわね。けど…、聞いたわよ、ろくに睡眠もとらないで、朝食もあまり食べなかったそうじゃない。自己責任でもある。」
「…………。」
「……軽い熱中症。でも…、アナタ今も熱がある。」
「…えっ……。」
「だから悪いけど、今日はここで大人しくしていて頂戴。状態が酷いようだったら最終便で下山するよう手配するわ。」
「……!そんな…!私は大丈夫です!」
「そうやって、すぐに無茶するのが…自分勝手だって言ってるのよ。」
「………!」
「大境さんがいたからオブラートに包んで言わせてもらったけど、貴方がそういうのだから…彼が困ってしまうのよ。」
「……え?」
「後先考えずに行動して、彼がフォローしていることにも気づかずに守られて……。」
「…………。」
「あなたたちは…もう別れたのよね。」
「え…?なんのことですか…?」
「しらばっくれても無駄。もうハルから聞いてるんだから。あなた達が…つき合っていたこと。」
「………!」
「勝手よね、本当。それでアナタにはもう新しい恋人がいるのだから……。」
「長南殿のことですか?それは誤…」
「もう、遅い。」
「…え?」
「例え誤解だとしても…、もう遅い。」
「…………。」
「あなたはハルが最も嫌がることをした。いくら誤解だととり繕おうと、彼には…許せないと思うわ。」
「…なぜ…ですか?私はまだ、先生のこと……」
「彼は…、人を信じられない人よ。今まで散々…裏切られてきたから。」
「……え…?」
「特に、女性に対しては…よりそうかもしれない。」
紺野先生は、目を伏せたまま、辛そうにして…
言葉を絞りだす。
「彼は過去に2回…、女に裏切られている。」
私はかけ布団をギュッと握りしめて……
次の言葉を待った。


