私は酷く狼狽し、ベッドによじ登って……毛布の中に潜りこむ。
耳を塞いで、ちっちゃくなって……それはまさに必死の防御。
ギシっとベッドが軋んで。
「ハヤクオドロウヨ。」
ドラキュラからの…お誘い!!
「無理です、ダメです、不可能です……!」
「……じゃー俺ならどう?」
ガバッと毛布を剥がされて……
妖艶な顔が、覗き込む。
牙を外し、満足そうに微笑むのは………。
「……に、仁志……先生?」
「……正解。」
「ひ、酷いです!お化けを驚かそうだなんて…、不意うち過ぎです。」
「………。誰かさんをつかって俺をここに連れ出したのはどこのどいつだったかな?」
「…………。」
しまった、バレていたのね?
「…逆手にとってみた。お前もスリルを味わえただろ?」
「………。も~…、先生には本当、敵いませんね。いつか絶対仕返ししてやるんだから。」
「おー、こわ。」
「………。覚悟しいや!」
「…はいはい、ご苦労様。」
……でも……、
参加すらしてないのに…
私がいるって知りながら……拒否しなかった。
わざわざ、来て…くれたんだ。
「……あの……。」
「なに?」
「……少しは…ドキっとしましたか?」
「………ああ、したね。恐怖で声も出ないくらいに。」
「…そっちの『ドキっ』じゃなくて…。ちょっとは…萌えました?」
「………その浴衣…、きっちり着付けしすぎ。もう少しザックリ着てたら、男ならみんなドキっとするよ。」
『男なら…誰でも』。
それは暗に…期待などするなってことですか?
「…じゃ…、お遊びはもうおしまい。お前みたいに腰抜かすヤツいるかもしれないから、俺は巡回に戻るよ。」
ニシハルはそう言って、私の頭にポンと一度手を置くと……。
「……明日からは勉強の方、頑張れよ。」
そう言い残して……
部屋を出ていった。


