恋はいっぽから!






皆でバスに乗り込んで…、


山の麓へと到着する。



ここからは各クラスに分かれ、それぞれにロープウェイに乗って…、今回お世話になるホテルへと…向かう。








「足元にお気を付けて下さい。」



添乗員に促されて、次々にロープウェイへと乗り込む。



「お~、一歩。」


「…!長南殿!」


ぎゅうぎゅうと狭い室内で、すぐ隣りになったのは…長南殿。




「そこ!目ぇ盗んでイチャイチャすんの勘弁してや?」


「…し、しません、そんなこと!」



オオサカの指摘に…二人首を振る。





長南殿は顔を少し赤くして…、チラリと私の顔を見た。



「……。ごめん、なんか……否定するのも嫌で結局そのままにしてて。」


「……。仕方ないですよ。時期をみて…皆さんにはお話ししましょう。」





長南殿は……、私たちが破局を迎えたことを知っている。


私が彼の想いに応えられないことも、

ニシハルに対する気持ちに変わりがないことも、


全部全部知っていて……




それでも、諦められないと……


言っていた。




その気持ちは、誰よりも私がわかっていて。


無下になどもちろんできず、今まで通りに、「友人」の延長戦上で…微妙な関係が続いていた。





「……………。」



一方のニシハルは、腕を組みながら、窓際でじっと下を……見つめている。





スーツじゃない、ニシハルの私服……。
(しかもちょっぴり山仕様(?))


如何せん、その背中を見るだけで……


萌え萌えしてしまうわ。








「え~…本日は〇〇高原にようこそおいで下さいました。これから約5分のお時間をかけて、〇〇高原駅へと到着致します。」



クラスメイトの皆さんの視線が……


一気に私へと注がれる。



なぜならば…!!



「〇〇高原にはニホンザルが多く棲息し、運が良ければ…ニホンザルの親子を近くで見れることがございます。…が、しかし!彼らは警戒心が強い生き物ですので、下手に近づいたりバナナをあげようなど危険な行為は避けてくださいますようお願いします。…襲われてしまいます故…。(ニヤリ)」



そう、なぜなら……!


予習完璧の三船一歩。


只今ガイドを買って出たのですから……!