家に帰って来ると、既に夕飯が出来上がっていて……
母上が、待ち兼ねていた。
「…ただいま。」
「おかえり~、時間かかったわね。…ご苦労様。」
ご飯をよそう母上に…
私はさっき感じた疑問を投げかける。
「意外でした。久則はお花も好きなんですね。」
「………。ええっ?」
「…写真を見たら…一枚も鳥の写真がないの。代わりに…綺麗な風景写真が沢山あったわ。」
「………。」
母上は私に茶碗を手渡すと。
「お義父さん、ちょっと見せてもらいますね~。」
そう言って。
袋に入った写真に…手を伸ばす。
彼女はしばらく見入って。
「……なるほど。」
と、小さく呟いた。
それから一枚の写真を…私の前に差し出す。
「黄色い花が『福寿草』。白い花が、『一輪草』。どっちも春先に咲く野草よ。」
「……母上、詳しいのですね。」
「…お義母さん…、つまりはトモヨさんから昔教えて貰ったの。」
「……!トモヨさんから…?」
「お義母さんは野山を散策するのが好きな方で…、この季節になるとお義父さんと一緒によく出かけていたわ。新婚当初、私達もよく連れて行ってもらった。…そういえば、いつもこの時期にはお墓参りに行ってるわね。」
「……。別居…してたんですよね。」
「あの通り破天荒な性格だったから…お義母さんこそ苦労したかと思う。でもね、最期を看取ったのはお義父さんなのよ?」
「…………。」
「毎年…お義母さんに見せに行ってるのね、きっと。」
「そうなのですか…。」
「意外よね。」
「…ハイ。」
「愛にも…色んな形があるってことね~。離れていても、思いやれるなんて…素敵だと思わない?」
「ええ、とても…。」
「今日の貴方の『トモヨさんスタイル』。あれが…効果てきめんだったようだわ。」
「……ん?」
「あの後、いそいそと出掛ける準備をしてたもの。大変だったんだから。あれない、これないって。」
「目に浮かびます。」
「…本っ当不器用よね。あなたもお義父さんに似たのかしら。」
「…!それは…不本意です。」
でも。
ちゃんと人を思いやれる人だったのだから…
ちょっとなら、認めてもいいかもしれないわね…。


