「ええ。揚げ足をとるのが案外好きなのよね。」
「………。」
「逆に、いい部分を見つけるのは…大変。それを見つけることができれば、自分でそこを伸ばしてあげるの。もちろん、相手に気づかれないようにね。それが…『慈しむ』ってことなのかもしれない。好きでいる理由が欲しいなら…相手に変化を求めるよりも、そういう部分を見つけるといいわ。嫌なことがあっても、その理由ひとつで…戻りたくなるような。」
「…………。変化を求めるより?」
「うん。だって人間の根本的な部分って変わらないじゃない?無理すれば負担になるし、疲れれば嫌気がさすもの。」
「…………。」
「……一歩の場合、相手に多くを求めてはいけないかもね。相手は大人で…立場もある。逆に言えば、あなたも背伸びしすぎない。負担になるし、そもそも彼は貴方に好きな部分があるから…続いているんでしょうし。そのままの自分を愛してくれる人なら、人を慈しむことを知ってる人なら…ずっとお互いに想い続けていられるハズ。」
「…………。」
今の現状に不安ばかりが募っていて…、なんとか打破したいと…足掻いていた。
自分が変われば…なんて、考えていた。
相手にも自分にも…多くを求めていたわ。
違うんだ……、
それじゃあダメなんだ。
先生が好きになってくれたのは…どんな私だった?
それは…わからないけれど、
ずっと想いが続いていけるような、
私を好きでいて貰えるような、唯一正当化できる理由が……彼の中に芽生えればいい。
焦ることなんて…ないのかな。
先生の好きな所はいっぱいありすぎて……
気持ちが離れることなんて、きっとこれからも…ないのではないかしら。
だったら、私にできることは……?
「……母上。」
「え?」
「何だかスッキリしました。」
「うん。ならよかったわ。」
「恋は…一歩から!恐れていてはいけないのね。」
「……そうそう、恐れず自分らしく!」
「私、先生の笑った顔が好きなんです。あの顔を見ると、嫌なことも忘れてしまうくらいに。だから…私がもっと笑わせたい。一緒に居ることで笑顔が増えたら…それほど幸せなことはないわ。」
「…………。私も貴方の笑顔が好きよ。つられて…笑いたくなる。」
「…そう…ですか?」


