先に長南殿の家へと着いて。
彼を降ろした後、
アクセルを踏み込むニシハルの苛立ちは……
なんとなく、感じていた。
二人きり…。
相変わらず音楽が流れていて、会話がなくともなんとかそれで間が持つような気がしていた。
…が、
途端に彼が…音楽を止めた。
「三船。話をしようか。」
「……!」
穏やかなすぎる口調に…
ザワザワと胸がざわつく。
「……まさかお前の担任になるなんて…思わなかったよ。」
「……ええ。驚きました。」
アラ……?
今日のことは…聞かないの?
「…でも…実は嬉しかったりもしてさ。」
「……!」
「だって毎日顔を合わせることになるだろ?今までとは、全然違う。お前のちょっとした変化にも…気づくことができるし。」
「………。」
「まるで…、考えナシだった。」
「………私も…、浮かれていました。ですが、なかなか難しいものですね。どう先生に接したら良いのか…わからないわ。」
「……同じだな。」
「同じですね。」
「……お前さ…、長南とはどうなってんの?」
「『どう』とは?」
「仲いいのは知ってるけど、最近じゃあ付き合ってるって噂が嫌でも耳に届く。」
「…………。」
ニシハルは、今まで話せなかった分…、ひとつひとつ、素直な思いを…ぶつけてくれているのがわかる。
「……あれは……」
こんな風に私も……、
自分に素直になったら。
この先、もっと上手くやっていけるんじゃあないかしら……。
「あれは…、カムフラージュです。長南殿は私達の関係を知っているから、バレないように…皆さんの目をごまかしてくれているんです。」
「………。上手いやり方だな。」
「……え。」
「そうやってスッと人の懐に入ってくる……。サッカーもそうだけど、いいDFだ。」
「………?」
「お前を守るには、最良の相手だ。」
「………どういう…ことですか?」
「俺から見てると、お前らにはもう…壁がない。わかってて警戒もしてきたつもりだった。それを受け入れたのは……三船、お前だろ?」
「……………。」
「お前には最良の相手。敵から見れば…最大の脅威。」


