車内には先生の趣味なのか……
洋楽が流れていて。
私は後部席で揺られながら…
その音に、耳を傾けた。
窓に頭をついて、見えもしない外の景色をぼんやりと眺めながら。
「…………!」
ふと…、肩に長南殿のアタマがもたれかかる。
「……ちょ…、長南殿?」
ニシハルに気づかれぬようにと、彼の耳元で…小さく囁く。
「……ごめん、一歩。」
「…え?」
「本当は緊張してて…バスで寝れなかった。」
「………!」
「嘘ついてごめん。ただ、あまりにも気持ち良さそうに寝てるから…起こしたくなかった。もっと見ていていって…思ったんだ。」
「……。」
「…責めてもいいよ。」
「そんなの、できる訳ありません。」
「………甘いね、ニシハルもアンタも…。」
「…………。」
「……オヤスミ。」
長南殿は本当に寝息をたてて……
寝入ってしまった。
その証拠に。
肩にさっきの倍…重みがかかっている。
ふと顔を上げると……
バックミラーに映ったニシハルの瞳と私の視線とが…ぶつかる。
「………あの……」
そこまで言いかけて、言葉を飲みこんだ。
ニシハルはもうこっちを見てなどいなくて、
どんな言葉を放っても…言い訳がましくなってしまうだろうと、自制心が働いて。
裏切ったのは………誰?
それは……、
私だ…。


