「高津…、俺がどうかした?」
「…………!」
今の会話……
聞かれた?!
「大体さっき言ったばかりだろ?イチャつくなって。やるなら人目につかない所に行け。」
「…や、別に俺らは…。」
「高津。女を扱う時は…、もう少し優しくしないと逃げられるぞ?三船は特に純粋だから。」
「……先生に言われなくても。俺の方がコイツのことよく知ってるし。」
「……。敵意丸出し。」
ニシハルはクスリと笑って…、
「…三船…、はい、コレ。」
抱えていた大量のプリントを…
私に授けた。
「……悪いけど、次の数学…、実習なんだ。このプリント、全部終わせろって言っといて。」
「……!こんなに…?!」
「…誰かさんみたいに、船漕がなきゃ…できるもんなんだよッ。」
彼の人差し指が…
私の額を、ポンっとつく。
じわっとそこから…
顔があったかくなる。
「……三船、俺が持つよ。」
「大して重くもないし…、別に大丈夫。」
「…いーから!持ちたいの!」
高津くんは私からプリントを奪うと……。
ニシハルを、キッと睨んだ。
何かしら……?
この、ただならぬ空気は……?!
「青春だな。」
ニシハルは、その視線からアッサリと逃れると……。
眉を垂らして、楽しそうに笑った。
それから、高津くんの頭に手をやって……。
「…ちゃんと見ててやれよ?無鉄砲もいいとこだから。」
そう言って…
2・3度、頭を優しく叩いた。
「……三船、そういや最近、あのノート見てないなあ。」
「…えっ…。」
それって……。
「たま~に、見せろよ?採点くらいなら、してやるから。……じゃあな。」
「……あ……。」
何も………
言えなかった。
……ニシハル…、気づいていたんだ。
最近、あのノート…、
『ニシハルノート』は……、
ずっと鞄に入ったまま。
まるで出番を待つかのように……、
いつでも、一番上に重ねられて。


