「駄目です!お願いだから、そうして下さい。」
「……ん、わかった。」
間もなく……
次の日を迎えようとするその時に、
一台の大きな車が……
私たちが座るバス停の少し先で……停まった。
「……え…?」
黒の……ベ〇ツ。
「……長南殿…。」
私は長南殿の制服を…ギュッと握りしめる。
「……?どーした?」
まだ状況が掴めない彼であったが、運転席から降りて来た人物に気がつくと……
気まずそうに俯いた。
「……え。何で…?」
「……わかりません。」
「三船、長南。お前らこんな時間まで…何してたんだ?」
「……授業サボって…すみませんでした。」
長南殿が、深々と頭を下げる。
「……すみませんでした!」
私も彼に倣って…頭を垂れる。
「……三船。お前のお袋さんに頼んで…代わりに迎えに来た。もういいから……二人共、早く乗れ。」
ニシハルの手が、私の手を掴む。
「…やっ…!」
思わず…その手を払うと、
ニシハルは驚いた様子で…目を見開いた。
「す、すみません。」
自分でも信じられずに、その手を…じっと見つめる。
「………。三船。」
「………はい…?」
「全然こっち…見ないな。」
「…………。」
「悪かったよ、色々。」
「……。『色々』…?先生は、何かしましたか?謝られるようなこと、したのですか?貴方に落ち度など…全くないというのに。」
「……ハ…?」
私は顔を上げて、しっかりとニシハルと向き合う。
「…先生は素敵な先生だと思います。今日だって…心配して来て下さったことくらいはわかります。あなたは先生として…間違ったことなどしていません。」
「……三船?お前…おかしくない?どうし……」
「…ですが!私は間違いばかりで、しくじって、一人落ち込んで……。……惨めです。」
「…………。」
「…アンタは何も間違っちゃいねーよ。」
黙っていた長南殿が…口を開く。
「好きなオンナを不安にさせる。…泣かせる。ニシハル、アンタは何を差し置いてでも…コイツを守んなきゃいけないハズなのに。なのに…アンタには、できない。」


