バスでガタガタと揺られるその度に、コメカミがズキズキと痛んだ。
「…大丈夫?やっぱり痛むの?」
「ううん、大丈夫。」
これ以上心配かけてはいけない。
「……けどちょっとだけ…眠いです。」
「うん確かに。けっこー歩いたしな。いーよ、寄り掛かって寝て。ちゃんと起こすから。」
「ですが、長南殿の方が先に降りなければなりませんし……、それに、付き合わせたのは私の方です。ここはひとつ、ドンと胸を貸しましょう。さあ……、『私の〇~でお眠りなさ~~い♪』」
「……ジュ〇ィオングもびっくりな音程と大胆さだな。」
「………。ハッ…!すみません、貸すのは肩でよろしいですか?」
「はい、いーよ。」
こてん。…と、長南殿の頭が…私の肩へとのしかかる。
ふわりとした前髪の隙間から、色っぽい瞳が上目遣いで私を見ていた。
「……近いな。なんか……ずっと遠くから見上げていたあの頃が嘘みたいだ。」
「………?」
「本当はさ、あいつより先に…俺は一歩を見つけていた。」
「…え?それは、どういうこ…」
「いいんだ、もう。」
長南殿はそう言って。
ゆっくりと…瞳を閉じた。
僅かに口の端が上がっていて…
それは、とても安らかな寝顔だった。
まだ腫れのひかないその頬に…そっと触れた。
……あたたかかった。
何だかとても……
あたたかかった。


