私は彼がまた手を引く瞬間を見計らって……
相手の腕をとる。
「………せいやッ!」
男の身体はいとも簡単に宙を舞い……
固いアスファルトに叩きつけられるその前に。
ぐっと力を入れて……
彼の身体を持ち上げた。
呆気にとられるスーツ王子。
「……わたくし、合気道を嗜んでおりましたので…、口を慎んだ方が身の為ですよ。(ニヤリ☆)」
尻餅つく彼に手を差し延べたけれど…
「…ナメんなよ。」
その手を弾いて、のろのろと立ち上がった。
「……一歩?何してんの?」
「!…長南殿!」
「…ソイツ…、誰?」
戻ってきた長南殿が…凄んで睨みつける。
「…長南殿。手出し無用にございます。男なら…サシで勝負しましょうぞ…?」
「…………。ちょっと待って。なにこの展開?俺がいない間にナニがあった?」
「…近づくでない!負けられない戦いが…ここにある!」
「………。はいはい、テレビに影響されすぎ。まずは説明しようか?」
…………。
ムードが台なしではないか。
「女を餌にする悪徳業者に…情けはいらぬ。」
「つまり、コイツは一歩を騙そうとしたってこと?」
「ええ。」
「なら、俺も黙って見てらんねぇーなあ…。」
長南殿はそう言って。
じわり、じわりと…
スーツ王子に近づいていく。
「…コレがさっき言ってた彼氏?」
王子は鼻で笑って、近づく彼を挑発する。
「…彼は関係ありません。大事な…相方ですから。 」
「……ああ、オトモダチって奴ね。随分不機嫌だけど…、関係ないって言われてるよ?」
「……うるせぇーな。てめぇに言われる覚えはない。」
「……つか、片想い?この変な女に?アンタこそ…この女を騙そうとしてんじゃないの~?」
なにこの人……。
いちいちカンに障るようなことを……。
「我が同志を侮辱する者は…生きては帰せぬのぅ……。」
「……ハ?」
「さっき言った言葉を訂正させていただきます。私の手を掴んでいい者は…もうひと方おりました。いつでも私を理解して下さるこの方こそ、私を導いてくださる温かい手こそ!…大事にしなければならないのです!」


