ふと……、足を止める。
「…………。」
背後から僅かに聞こえていた足音が……
ピタリと止まる。
「…………。」
また、歩み始める。
少し忙しく歩く音が……
背中に届く。
「…………!」
私は小走りする。
……一定のリズムを保って駆けてくる足音が、一体誰のものであるのかなんて安易に予想はついていて……。
「……ついて来ないで下さい。」
素っ気なく前を見たまま声を上げるけど…、
「…………。」
返事は……ない。
「……今は一人になりたいのです。」
私にしては珍しく、切実な思いを伝えたつもりだったのに……
「今は、一人にさせなくない。」
相手はそう切り返してしまうのだから、もう…どうしようもない。
「……勝手にして下さい。」
「…………。」
ここは…流石は相方。
貴方の場合は、
遠くにいようが、近くにいようが……
まるで私のことはお見通し。
「どうしたらいいかわからないんだろ?教室出た手前、戻れないし…、かと言って、家に帰る気も更々ない。」
意思の疎通がこんなに簡単に出来てしまうのだもの……。
「………違います。」
こんな陳腐な返答は、通用しない。
「………ついていくよ。一歩がスッキリするまで。納得…できるまで。とことん…付き合う。」
「…………。」
「これが…デートにしてもらっても構わない。わかった?ミフネさん。」
「…………。承知…しました。」
長南殿は……
どうしてこうも、私を救い上げてくれるのでしょう。
黙々と歩く私の後ろから、一歩遅れて奏でる足音が……。
少しずつ、私の中の蟠りをとかしていくかのように……
安心感をもたらす。
時折耳を澄まして、その音を確認しながら……
街中を、ずんずんと歩いて行った。


