「…顔色悪い。見てらんないんだよね、俺。」
「長南殿…?」
「先生、そういう訳で…一歩を家まで送って行きます。」
「は?」
長南殿は席を立ち上がり……
私のバックを手に取った。
「……行くぞ。」
「……けど……。」
「どっちを信用するかは…アンタが決めればいい。でも今だけは……、こっちを選んで。」
「…………。…はい。」
長南殿からバックを受け取ると……
ニシハルの方へと、向き直す。
「………。先生、すみません。体調が優れないので…帰らせていただきます。」
「……。なら、一度保健室に行った方が……」
「……!!行きません!あそこだけは…絶対に。」
「…え?」
あそこに行く度に…私はきっと、思い出してしまうもの。
抑えきれない黒い感情が…甦ってしまう。
「……先生には…わかりませんよ。」
「…………。」
「先生にはわかりません!」
机を叩いて、勢いそのままに立ち上がると……
「行きましょう、長南殿っ。」
驚く長南殿の手を引いて。
ニシハルの顔を確認せぬまま、
教室を後にした。


