HRが終わってすぐ。
私は携帯を開いて……
メールを作成する。
あのマスクマン(注:ニシハル)が、果して今何を考えているのかが……気になって。
『先生、私が追跡したいのは…』
……駄目よ、これでは。
ストーカーじゃないんだから。
『マイムマイム(注:フォークダンスの曲名)も捨て難いですよね』
……駄目よ、これも。
スルーされるわ。
『少しはヤキモチを…』
…ダメダメ!
まだネタばらしするには早いわ。
「あ~~もうっっ。」
ゴチ☆と額を机にくっつけて…
打ちかけた文字を消していく。
もっとこう……、ちゃんと返事を返して貰えるような内容じゃないと……。
こういう時に。
恋愛スキルのない私は……
いつも間違えそうになる。
いつだって私のそんな暴走を止めてくれたのは、
正しい方へと導いてくれたのは、
莉奈ちゃんだったり、高津くんだったり……。
そして何よりも。
ニシハルが受け止めてくれたから……
ここまでやってこれた。
それら全てを失ったのなら。
私はこんなにも身動きができなくなるのね……。
「………。」
そういえば……。
マスクといえば。
心なしか覇気もない感じだったし……、もしかしたらまだ本調子ではないのでは…?
『風邪の具合はいかがですか?』
自分の気持ちを取り繕ったって仕方がない。
正直に、感じたことを…伝えていかなければ。
彼には…届かない?
「……駄目じゃん、三船。」
送信ボタンを押すその瞬間に……
するりと手元から抜き取られる携帯。
「……長南殿。」
「生温いことするなよ?」
「…………でも…」
「負けを認めるの?」
「……!そうじゃなくて…!」
「なら、我慢も必要。」
「…………。」
「今更、イチ抜けだなんて…やめろよな。」
「……わかってます。ですが……」
「大丈夫だよ、三船。言ったろ?じわじわ行こうって。今頃…ジャブが効いてる頃じゃん?」
「……そうかしら…。」


