少しだけ癖のある、黒髪…。
広い背中……。
私はその後ろ姿にうっから見とれながらも、思いきって声を掛けた。
「……仁志先生。」
名前を呼ばれたニシハルは……、回転椅子をくるりと回して。
こちらに振り返った。
「…5組の日直って…お前?」
「…ハイ。私と、高津くんです。」
「……あっそう。てか、遅すぎ。」
「すみません。あの、それより。」
「……は?」
イラッとした顔。
ホント、短気ねぇ……。
「…その椅子、貸していただけませんか?」
「……??は……?何で?」
「…いいから。急をようするのです。」
私はニシハルの腕を掴んで……、
「先生はこちらへ。」
席を立たせる。
あら……?
意外と手首がガッチリしているわ。
「……?何なんだよ…、一体?」
はてなマークが飛び交う先生を無視して、高津くんを椅子に引っ張ってくる。
他の先生方が……
何事か、と、周りに集まってきた。
「仁志先生。すみませんが…、これを持っててください。」
私は先生にポケットティッシュを預けると……。
「では。オペを始めます。」
高津くんの頭をガッチリと掴んだ。
無抵抗の高津くん。
麻酔が……
効いたのね。
(注:諦めているだけ)
「………メス(目薬)!」
高津くん……、すぐに終わるわ!
閉じようとする瞳をこじ開けて…。
「…ほら、しっかりして!」
ぽたん……、と2滴。
目薬を垂らす。
「高津くんッ、瞬き!」
「……はいはい。」
「……。ティッシュ!」
「…………。」
「仁志先生、ティッシュ!」
「…………。」
彼は無言のまま……
私にティッシュを手渡してきた。
「……手術は……、成功です。」
ふうーっと息を吐くと。
あら……?
なんだか公開オペ状態?


