勢いよく扉を開くと。
そこは……、もぬけの殻。
けど、一人だけ……。
机に突っ伏して、微動だにしない人物が……いた。
「………?寝ているのかしら…?」
よくよく見ると、そこは……
私の席。
起こさぬようにと、
ゆっくりゆっくりと近づいて。
すぐ側まで来ると……。
「………!」
無造作に弄ばれた茶色い髪の毛。
今時の高校生を象徴するような……この、風貌。
「……長……」
…と、私が口を開きかけた瞬間……!
ガシッと突然……、
腕を掴まれた!!
「……遅せーよ。」
顔を上げたその人は…、
上目遣いで私を見つめる。
「……長南殿!……私を…待ってたのですか?」
「ウン。」
ああ……!つぶらな瞳……!!!
まるでチワワ!!
聞こえてくるわ……!!
『どうする~♪アイ〇ル~♪』
(注:昔放送された、チワワご出演の某消費者金融会社のCMです)
「……どうするも何も見とれてしまうわ。」
「……は?」
「いえ、…戯言です。お気になさらず。」
……本当、この人の目は…
時折、怖いくらいに人を魅了するわ。
…くわばらくわばら。
「…ところで…、皆さんもう帰られたようですが…私に用とはなんでしょう?」
「うん。用っていうか……、預かり物があったからさ。」
「……?何かしら?」
「…アンタと一緒だったハズの大境はとっくに戻って来てたのに……。アンタは一体どこでサボってたワケ?もー帰ろうかと思ったよ。……コレ持ったまま。」
彼の目の高さに翳された物。
それは……、
「私の携帯……。」
「あたり。」
「なぜ長南殿が…?」
「先生達これから職員会議あるらしーから、仲いい俺にってさとちゃんから預けられた。」
「そうでしたか。それはお待たせして大変申し訳ありません。ありがとうございます。」
そう言って。
携帯に手を伸ばすけれど……。


