「……熱い。ちょっと待って。今体温計を…。」
そう言って立ち上がった魔女の視線がついに……、
私の視線とぶつかる。
「………!!」
……まずい!
覗き見ていたことが…バレたわ!
……なのに……
魔女は少しだけ笑みをこぼして。
そのまま何事もなかったかのように棚から体温計を取り出すと……。
再びニシハルが待つベッドの方へと戻って行った。
そして。
次の瞬間……!
「……重っ……。」
ニシハルが呻き声を上げる。
魔女はなんと……!
ニシハルの足に……
腰掛けた?!
「今にも逃げ出しそーな顔してるから。……確保。」
「アホかっ。」
………アナタは白衣のポリスですかッ!
「こんなこともあろうかと、新見先生にはちゃーんと断っておいたわ。あなたはおとなしく家に帰るの。私が送っていくわ。」
「………。ガキじゃねーんだから。お前に世話んなる義理はねーよ。」
「……相変わらず。強情っ張りなトコロは。放っておくと暴走するのは…三船さんのこと、言えたもんじゃあないわ。」
………私……?
魔女はチラリとこっちに視線を送る。
艶っぽい唇の端を少しだけつりあげて……、
潤んだ綺麗な瞳を、またニシハルへ向けて……
手を伸ばし、
彼の顔に触れる。
「……まあ、でも彼女の暴走を止めるのが…貴方の仕事だものね。」
「は?」
「なんだかんだ、放っておけないんだものねぇ…。」
細くて白い指。
爪の先まで整ったその手が……
しなやかに、
妖艶なまでに、
彼の髪を撫でていく。
『やめて』
心でどんなに叫んでも……。
声になどならなくて。
二人のただならぬその様子を……
ただただ、じっと見つめるしかできない。
「手慣れたもんね、生徒の扱いも。まるで…保護者ね。」
魔女は一体……
何をしたいの?


