やって来たのはもちろん……、
保健室の前。
ニシハルは今ここで寝ているのかしら…。
ドアに手を掛けて…、すぐ。
「……ここは…魔女の巣だったわ。」
ここが私の最も苦手とする女教師…、『紺野』の本拠地だと気づく。
「……注意を払うにこしたことはない。」
いつかみたいに……
まずは、そっと中の様子を窺いましょう。
音を立てぬようにと、
ゆっくりと、数センチだけ…
扉を開ける。
「………。」
……誰もいない。
もう少しだけ…開けてみる。
まだ……
誰の気配も感じない。
見えぬなら。
覗いてみせよう。
…ホトトギス。
(注:豊臣いっぽになってみました)
いよいよ身を乗り出して、ドアからひょっこり顔を出すと……。
「やっと…目、覚ましたわね。」
「…………!」
魔女の……後ろ姿…!!
ベッドのしきりとなるはずのカーテンが無防備にも開いていて……
丸椅子に座った彼女がそこに寝転がる「誰か」の顔を覗き込んでいるのか……
前方へと、身を屈めている。
寝ているのは……
誰?
脈打つ鼓動が……やけにリアルに、響いていた。
誰ってそんなの……
一人しかいないじゃない?
「……枝里…?」
よく聞き慣れた低い声が……
知らない名を呼ぶ。
『枝里』って……。
もしかして。
紺野先生の…名前?
「今何時?」
「始業式終わって今HRの時間ね。」
「……。やばいな、そんなに寝てた?」
「ええ、そりゃもうぐっすり。よかったわよ、引き止めて。こんな状態では立っていられなかったもの。どう?具合は。」
「………。だいぶいいかな。頭痛もおさまったみたいだし。つか、そろそろ行かないと。」
「……まだ顔が赤いわ。」
起き上がろうとするニシハルの身体をすぐに押し倒して……。
彼女の手が、ニシハルの額に触れる。
……ナニこれ……。
こんなに簡単に、触れられても……
全然普通だっていうの?


