「………もういいです。すみません、降参します。」
「……。降参?」
「ええ。柄にもないことをしてしまいました。」
「…………。」
「…もう、纏わり付くのはやめます。」
「……………。」
「…結構ひどいこと言ってしまいました。なのに…助けていただいて、ありがとうございました。色々と思い違いをしてたらすみません。あとは…、もう関わらないので。では……、私はこれで。」
これ以上は。
彼にも、私にも苦痛になるだけ。
この胸のチクチクは…。
何かの警告なのかもしれない。
立ち上がった私の肩を……
ニシハルが掴む。
何とも簡単に……
すとん…、とベッドの上に……戻らせた。
「……あの…?今…行くっていいませんでしたか?」
「ああ…、うん。」
「では…、なぜこんなことに?」
「……うん。何でだろうな。」
ニシハルはニッと笑うと……。
「……らしくないんじゃないかと思って。」
「……?」
「だってお前。簡単に…降参とかするようなタマじゃないだろ?」
「……はぁ…。」
……?どういうこと?
「…簡単には靡かないくらいがいいのになあ。もうちょっと頑張ってみれば?」
「……あの……。何を…ですか?」
「ソレ。『ニシハルノート』。」
「…………?!」
「案外…、面白いかもよ?お前が思う程…、俺は人嫌いではないし、できるならもっと深ーい付き合いしていけたらって思う。その相手に…、なってみろよ。」
「……は?」
なぜ……?
「うわ。すっげー露骨に嫌なカオしやがった。」
彼は私の頬を掴むと。
びよ~~んと横に引っ張った。
「……何をしているのでしょうか?」
「その顔。ポーカーフェイスを…崩してやりたいんだよな。」


