「ふわっふわ。お前のコレってパーマ?」
髪を梳くその指を…私はじっと見つめた。
長くて綺麗な指が……
何度も何度も髪を優しく撫でていく。
「………天然記念物です。」
「天パーか。こんだけ綺麗なウエーブだと逆に気にならないな。」
「……。先生もくせっ毛ですよね。」
「まあな。俺のは結構厄介だけど。」
「……私は好きですよ。特に襟足辺りがそそります。」
「そそるって…。なんだそりゃ~?」
「何だかヤンチャの名残って感じが。」
「……?よくわかんないけど…、ああ、そう?」
「私は自分の髪は嫌いです。」
「何で?似合うのに?」
「………。さっき先生も言いましたよね、これがパーマかと。これのお陰で…何度か誤解を受けたことがあるので……。」
「………………。」
ニシハルが無言になると同時に……、
ドライヤーの音が、ピタリと止んだ。
「………。誤解って?」
「昔の話です。」
「それは…、俺に話したくないこと?」
「………いいえ。…知られたくないって言った方が正確かもしれません。」
「…………。」
「先生にもあるでしょう?知られたくない過去の一つくらい。」
「…………!」
「きっとそれと同じです。」
「……三船。」
「はい?」
「なんで…言えない?」
彼の瞳が…ゆらゆらと揺れていた。
それは……、
怒りなのか、戸惑いなのか……
私にはわからないけれど。
決して逃そうとはしない。
してくれない。
そんな……
何とも言えない憂いを帯びていて。
私はまるで金縛りにあったかのように…
動けない。


