「その証拠に。」
私は、ニシハルノートを広げると……、
その、ターゲット張本人の目の前に…突き出した。
「……あんなに調べたのに。先生が…まるで見えてこない。このノートに書かれていることのほとんどは…、『ニシハル』じゃなくて、『仁志先生』のことだけ。」
「…………。」
ニシハルは。
しばらく黙っていたけれど……。
「………だから、みんなちゃんと聞けっつーの。」
「………?!」
な…、
開き直り?!
「聞きたいことあるなら、ストレートに、俺に直接聞けばいいのに。」
「……そしたら……。先生は、ちゃんと話してくれるんですか?」
「……。話すよ?なんなりと。」
「……嘘はつきませんか?」
「……多分、ね。嘘かどうかは相手が判断すればいい。」
「……じゃあ…、教えてください。」
ニシハルの瞳を…、じっと見つめる。
お互い目を逸らさぬまま、数秒間……。
私は決して貴方を知りたい訳じゃない。
莉奈ちゃんの為に。
知ろうとしているだけ。
……そう思おうとしたけれど、
その綺麗な瞳に吸い込まれそうになりながら……
私の思考はもうめちゃくちゃで。
ようやく口に出た言葉が……。
「……何型ですか。」
選択ミスっ!?
「…………。何型に見える?」
「……ええーと…、O型?」
「当たり。」
そ…、そっかー、O型かあ…。
「「……………。」」
沈黙が……、気まずいわ。
「……なら!……何歳ですか?」
……ガッカリ…。
「あれ、知らない?」
「ハイ。推定24歳くらいかと。」
「お。わかってんじゃん。」
「「………………。」」
「……で?後は…?」
あと……?
おかしいわ……。
いざ、本人を目の前にすると……
全くもって聞けやしないじゃない?
ああ……、
そういうことなの?莉奈ちゃん。
どんなに簡単なものかと高を括っていたわ。
私も……、
まだまだね。


