「…まさか本当に貧血だったとは……。さすがに意表つかれた。」
「…………。」
「……無駄な動きばっかしするからだ。」
ニシハルが私の頭を……
バシっと何かで叩いた。
「…………!これ……。」
頭に乗せられたものを、私が確認しようと手を伸ばすと……。
うっかり。
ニシハルの手を掴んでしまった!
「……いいの?お前意外と大胆だな。」
「………??!」
ギシっと音をたてて。
彼はベッドの上へと座り直す。
「……ギャッ!」
手を離すと同時に……
頭上から、ポトリと何かが落ちてくる。
「…………あ。」
そこにあったのは。
「………。こんなノート、よく作ったよなぁ……。しかも、達筆。」
彼が指をさしたもの。
それは……
『ニシハルノート』。
私がさっき当てつけに置いていった…。
「……確かに…。お前と比べたら、俺は勉強不足だな。お前の体調にも…もっと配慮すべきだった。」
「………!」
「……よくもまあ、そんなに調べあげたものだよなぁ。おかしいとは思ったんだよ。俺のことキライなはずなのに、周りをうろちょろしてるから……。」
「………!先生、気づいてたんですか?」
「あれだけ堂々としてたらそりゃあな。」
「…………。」
「……見上げた根性だ。」
「…任務を遂行したまでです。」
「……は?任務…?」
「…はい。バレてしまった以上は、仕方ありません。先程言った通り…、私は莉奈ちゃんの想いを知って、彼女の意思とは関係なく……、自分に任務を課したまでです。彼女の為にできることなんて……、こんなことくらいしかないから。」
「……へぇー…、そりゃあ大した友情だ。」
「……馬鹿にしてるんですか?」
「…あ?何でだよ。」
「なんとなくです。それに…。先生は、馴れ合いしてるようでいて……、人とはどこか壁を作ってる。境界線を張って……、他人を踏み込ませないように。」
「…………。」


