水槽のトンネル。
頭上を……魚たちが泳いでいく。
「ここは何回来ても飽きないのよね……。」
私は通路の端に設けられた手摺りにもたれかかって……
天井を見続けた。
「お前、ここによく来るんだ?」
「ええ。年に一回くらいですけど。」
「つーか、だったら別の場所が良かったんじゃねーの?」
「………。」
彼は私のすぐ隣りに並んで……、
同じように、上を見上げる。
「いいえ。クラゲを見せたかったのもありますが…、私の好きなものを、先生に知ってもらいたかったんです。同じ物を見て、同じ感動を味わえたら…嬉しいじゃないですか。」
「……また『先生』になってるし。」
途端に、目の前に…
ニシハルの顔。
チュッと小さく音を立てて……
キスを落とされる。
「………公衆の面前でなんてことを……!」
慌てて口を覆って応戦するけど…
「こういうのは誰も見て見ぬフリするもんだ。…問題ナシ。」
しれっとした様子。
「ホラ、そんなトコで止まったら通行の邪魔だ。…先行くぞ。」
そう言い放って。
スタスタと……
先を歩いて行った。
「……ま、まって。」
まさに……
自由人健在だわ。


