「ニシハル!餌付けが始まるわ。こっちこっち…!」
私は次第に人が集まり出すそのタイミングで最前列を奪うと……
他の水槽を観賞しているニシハルに手招きした。
「……?なに?それって珍しいの?」
人垣をぬって…彼は私のすぐ隣りへとやって来た。
人の波に押されて、私の肩が彼の腕にピッタリとくっつく。
密着……!
ビバ!人混み!
そうこうしているうちに、餌付けショーの始まりを告げるアナウンスが流れて……。
辺りがほんの少し、暗くなる。
ニシハルはただじっと……
オワンクラゲが泳ぐ、その様子を見つめていた。
一方の私は、クラゲを見ずに……
彼の横顔をじいっと見つめる。
やがて………
その顔に、青白い光が射す。
彼は少しだけ目を見開いて……
その眼差しを、逸らそうとはしない。
「……綺麗でしょう?」
私の問い掛けに、ようやく我にかえった彼は……
くるり。と、こちらに振り向いた。
「…先…ニシハルってば全然気づかないんだもの。」
「え。もしかしてずっと見てた?」
「ええ。」
「クラゲじゃなくて?」
「ええ。だってクラゲを見てる先生を見ていた方が…楽しいですから。(フフン)」
「…お前がコレ楽しみにしてたんだろ?」
「ええ。けど私は見慣れてますし…、それに、今日はあなたにコレを見せたかったんです。」
「………。なんで?」
「だって、この繊細な光…。…綺麗でしょう?」
「ああ。」
「…今日はクリスマスですもの。けれど余り長くは一緒にいられないでしょう?…街中のイルミネーションも素敵だけど、こんな優しい光のイルミネーションも素敵じゃない?」
「………!」
「……なんて、ね。」
やだわ、先生じゃあるまいし……
なんてゆーキザな台詞を……!
「……なる程ね、確かに…綺麗だ。」
「………!」
ビバ…!海月さん!!
「…けど、ニシハルの横顔の方が…美しいわ。(ボソッ)」
「…は?」


