「だって今日は『教師』じゃないし。」
「………?」
「誰もいないんだし、今日くらいは呼び名変えろよ?『先生』じゃさすがに可笑しい。」
「…………!!?」
朝から……
衝撃発言!
でも……、
ならば、呼びたい名があるわ!!
「……『ニシハル』。……なんて…、うふふ、本人目の前に…ついに言ってしまったわ☆」
「………。そりゃあ随分とメジャーなとこついてきたな。」
「いいのです。これ以上に接近した呼び名は危険ですから。」
「は?」
「緊張して…。呼ぶまでにきっと、軽く1分はかかりますから。」
「……そう?」
「そういうものなんです!もう、先生はちっとも乙女心がわからないんだから!」
「あ、ほら。また『先生』って呼んでるし。一歩はいつまでたっても成長ねぇなあ…。」
「……………。」
『一歩』。
今さりげなく名前で呼びましたね。
ええ、呼びましたとも。
乙女心を……
心得てらっしゃるわ…!
(注:前言撤回です)
「まあ、ゆっくり慣れりゃあいいか。」
…そう言って。
さっきのお返しと言わんばかりに……
ぐしゃぐしゃに頭を撫でてきた。
「…やめてください。髪が乱れます。(キリッ。)」
「お前が言うか!」
口角をキュッと上げて……
楽しそうに笑う先生……、
イエ、
『ニシハル』に……。
会ってまだ5分少々で…
振り回されている。
決して嫌な訳ではないけれど、
激しさを増すこの胸の動悸に……
本日、耐えていけるのかしら……?


