数式なんて、どうでもいい。
私のこれからの人生で……、こんなも、役に立つはずないもの。
そんなことより……。
先生、
失恋の傷を癒す方法を教えてよ。
貴方に恋をして、
泣いてしまった人への懺悔の姿を見せてちょうだい。
「………じゃあ……、次の例題を、……三船!お前がやってみろ。」
「………!」
「珍しく起きてるから…、頭冴えてるうちに解け。」
クラスに…笑いが起こる。
なんの……
嫌がらせ??
「……わかりました。」
腹わたが煮え繰り返りそうだった。
その証拠に……
チョークを持つ手が、怒りで震えている。
「……さっき見たの、みんなに言ったのか?」
ニシハルが背後に立って……
ボソッと私に話しかけてくる。
「……疑っているんですか。」
「別に……そういう訳じゃねーよ。」
私は数式を書いては……
時折、考えたフリして手を止める。
「……次の例題も誰かに当てるから…、そっち解いてろよー!」
私達から目を背ける為か、ニシハルは他の生徒達に…そう呼びかけた。
「…私に…口止めしようと?」
「いや。言いたければ言えばいい。」
「……はあ?世間体とか…少しは気にならないんですか?間違いなく首になりますよ?」
「……お前にはまだわからないだろーけど。そんなん怖がってたら何もできねーんだよ。」
何この人。
ホントに……、「先生」なんてしてていいの?
手に力が入って……
チョークがポキっと真っ二つに折れた。
ニシハルはそれを拾うと……。
「…不満そうだな。」
カラン…と…、
静かにそれを元あった場所へと……戻した。
「なぜ莉奈ちゃんを追わなかったんです?」
「……逃げるから。泣きそうだったし、そういう時は…深追いすべきではない。」
「……原因を……、先生は知らないからよ。」


