「ふ~ん。人を本気で好きになったことがないんだ?」
「………。」
サオリの何気ないひと言に……、
「……ってか…。いるよ、本気で好きな女。」
つい……
そんな言葉がついて出た。
一瞬固まる、場の空気……。
「アレ…?ハル、お前今女いないって言ってなかった?」
誘った手前、キマリが悪い寺澤は……
少し慌てた様子。
「あ。もしかして…あいつと再燃?さり気にお前ら長かったろ~?」
「確かに!結婚するのかと思ってたよなぁ~?」
「寺澤、沖山。」
ペラペラとしゃべり続ける彼等の言葉を……
ニシハルは、落ち着いた低い声で…遮る。
…が、その瞳は。
手元のグラスへと…落とされたまま。
「……バカ、違うよ。」
ニシハルはふっと笑って…、
それから、顔を皆の方に向けると。
「ちゃんといるから。本気で好きな…女。」
サオリをはじめ、他の女達は少し肩を落としたが…。
「……そっか。だからさっきから気にしてたんだね。」
サオリが彼の手元を……
指さした。
「……は?」
「…携帯。さっきから何度も見てる。」
「………。そう?」
「うん。だから、つまんないのかなぁって思って見てた。」
「や。楽しいよ?」
「上手いのね。…だから女はみんな貴方に堕ちる。」
「……いい手口だろ?」
「……まあねー。…でも、何だ、そっか……」
「……?なに?」
「他人に興味なさそうだったから…。そーいう人の好きな人ってどんな女なのかと思って。」
「…………。」
「……きっと貴方を諭すような……、落ち着いた、綺麗な人なんでしょうね。」


