そうこうしているうちに……。
また、パタパタと音を響かせて。
「あ……、先生、お待たせしてすみません。」
母上と…、
その背後から……。
「「…………!!」」
「一歩の父親です☆」
親父殿、登場………!!
『かこーん………』
……と、鹿威しの音が聞こえてきそうな、
そんな沈黙が続き……。
「だッ…誰だね、ちみは!!」
「「「 !!! 」」」
親父殿の最高なキョドりぶりに……。
先生が笑いを堪えたのは言うまでもない。
……が、しかし……。
親父殿はやや真剣であった。
「アナタ。一歩の学校の先生よ。数学の担当をなさっているの。」
「初めまして。仁志日陽と申します。」
先生が深々と頭を下げると同時に……
「………貴様か……。」
まるで瞬間湯沸かし器のように顔をカッカと赤くして…、
親父殿が先生の胸倉を掴みかかった。
「……アナタ!何を…」
それを制する母上の手を薙ぎ払い、
ギロリと彼女を睨みつけて。
「コイツがあの写真の男だ。」
親父殿は覇気なく呟く。
「………え?写真?」
オロオロする母上。
「人の家の前で、イチャイチャするとは…、言語道断!」
「……………。」
状況が掴めていない先生も、彼の剣幕ぶりに……
何かを悟った様子。
「……軽率でした。申し訳ありません!」
「……先生………。」
頭を下げたまま……
顔を上げようとはしない。
「……まさかのまさかだったなぁ…。付き合っている男が教師だったとは。これまで娘とはどんな個人授業をしてきたのかねえ……?」
「………数学です。(キッパリ)」
「…んなわけあるかぁあ~!!」
親父殿の拳が、先生に振り落とされようとしたその時……!
「……せいやッ!!」
その拳をしっかと掴んだのは………。
「………親父……。」
……久則だった。


